乳酸菌研究最前線

乳酸菌1073R-1株試験結果(6)

乳酸菌1073R-1株を含むヨーグルトの摂取により、免疫機能の低下リスクが高い人の一時的な免疫機能(NK活性)の低下抑制や身体のコンディションを良好に保つ可能性があることを確認(2012年実施・大学陸上部に所属する18歳~25歳の男子選手(健常者)を対象としたヒト試験)

本研究では免疫機能の低下リスクが高い方に対しても、正常な免疫機能の維持に有効であることを明らかにしました。また、乳酸菌1073R-1株を含むヨーグルト群の摂取は、一時的な腸管機能の低下やアミノ酸代謝の異常を抑制することで、全身の恒常性を保ち身体のコンディション維持に働くと考えられます。当結果は、R-1 EPSをこれまでの試験の2倍に相当する6.6mg摂取していただくことで初めて見出されました。

免疫機能の低下リスク

免疫機能の低下は、さまざまな感染症の発症リスクを高め※1、身体的および心理的なコンディション不良にも関連すると考えられています※2。免疫機能の低下には、加齢をはじめさまざまな原因が考えられますが、不規則な生活や激しい運動などもリスクになることが知られています。また、激しい運動は腸管に障害を与え、たんぱく質の消化吸収機能を低下させることも報告されています※3。運動選手にとって正常な免疫機能を維持し、トレーニング後の筋損傷からの回復を促す必須アミノ酸の血中濃度を低下させないことは、身体のコンディションを維持するうえで非常に重要です※4

  • ※1出典: Brolinson PG, et al. Clin Sports Med 26: 311-319, 2007.

  • ※2出典: Agans RT, et al. Front Nutr 7: 70, 2020.

  • ※3出典: van Wijck K, et al. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 304: R356-361, 2013.

  • ※4出典: Waskiw-Ford M, et al. Nutrients 12: 1061, 2020.

NK活性の変動と血中アミノ酸濃度の変動

大学陸上部に所属する男子長距離選手18名と男子投てき選手13名を競技ごとに偏りがないようにランダムに2群に分け、乳酸菌1073R-1株を含むヨーグルト群(R-1 EPSを6.6mg含有)またはプラセボの酸性乳飲料を2週間摂取させました。この間に1週間の合宿を実施し、激しい運動を負荷しました。主要評価項目はNK活性としました。

NK活性の変動
血中アミノ酸濃度の変動
対象
大学陸上部に所属する男子選手(18~25歳の健常者/長距離選手・投てき選手)
人数
31名
乳酸菌1073R-1株を含むヨーグルト群:112ml×2本/日
※R-1 EPSを3.3mg含有したヨーグルトを毎日2本(6.6mg)摂取
酸性乳飲料群(プラセボ群):112ml×2本/日
摂取期間
2週間(合宿期間1週間含む)
試験期間
2012年

(出典:利光孝之,他.体力科学.2023;72(2):161-72. )

その結果、本ヨーグルト群(n=16)ではプラセボ群(n=15)に比べて

  1. (1)
    激しい運動に伴うNK活性の低下が有意に抑制され、免疫機能の低下を防ぐことが確認されました。その他の免疫指標に関しても同様の影響が認められました。
  2. (2)
    激しい運動に伴う必須アミノ酸及び分岐鎖アミノ酸の血中濃度の低下が抑制され、身体のコンディション低下を防ぐことが示唆されました。

これらの結果から、乳酸菌1073R-1株を含むヨーグルト群(R-1 EPSを6.6mg含有)の摂取により、激しい運動に伴う一時的な免疫機能の低下が抑制されることが明らかになりました。また、同ヨーグルトは激しい運動に伴う腸管機能の低下を抑制し血中アミノ酸濃度を正常に維持することで、身体のコンディションを良好に保つと考えられます。